2010/09/28

入試問題を作るということ

えと,内容をばらすわけにはいきませんが,今では入試問題を実際に作成する側に加わっています.

できるだけ優秀な学生さんにいい結果が出せるように,という思いを持って入試問題を作成しているのはどこの大学でもそうなんでしょう.

イギリスに留学する前は,それこそ入試問題分析でナンバーワンという評判のところで仕事をしていたのだけれど,改めて現場に入ってみていろいろと思うところがあります.

外部から入試問題を解き,論評し,そして模試を作成するという側に立てば,やはり質のいい大学入試問題を作成する大学には好感を持ちます.

初年度は神大,そして2年目からは京大の入試問題分析が専門だったのだけれど,京大はたんに「難しい」という問題を恣意的に出してきているのではなくて,重厚で内容にまとまりがあり,文構造を読み取る訓練がしっかりとできている受験生が点を取れる問題,口語体だが,字面を追うだけではなく,文章内容をきっちりとつかまないといけない問題,そして柔和な文体だけれど,国語力と英語力の両方がないとまとまりのある英文に直せないような英作文問題をきっちりと作成してきていました.

こういった問題を見つけてくる京大の教授陣のセンスの良さを見るにつけ(たまに外れがあるのも事実だけど),やはり優秀な研究者は入試問題もそれなりのものを作ってくるものだな,と感心していたものです.

他にも,関関同立の問題を解いて,論評して新聞に解答を載せるような仕事もしていましたけど,同志社大学なんかはセンスのいい良問を出題します.出題意図が単純で,かつ,きちんと勉強すれば解けるのだけれど,よく練られた設問を丁寧に出してくる大学で好感が持てます.

この手の解答速報は,予備校の名目で公に発表するので,もちろん,1人ではなく複数の講師で解くことになります.

講師なら誰でも呼ばれるとかそういうわけではなくて,私のいたK塾では,テキスト・模試・解答作成の職人さん(知的グループとでも呼ぶべきか)たちと,授業評価がよくて集客力のあるタイプに分かれることになります.(両方できる人ももちろん多い)それで,招集がかかるのはもちろん,前者のタイプ.

西日本の解答速報だと,もちろん京大は花形なので,エキスパートが集まることになります.彼らエキスパートは,やっぱりなんだかんだで仕事ができるので,一緒にいて楽しかったです.

資料収集の才能もあるし,入試問題の分析なんかとても凄くて,何年度のどの問題かを概算ながらも覚えていたりするし,仕事が早く,それでいてそつなくこなす能力があります.やはり,どの業界でもエリートって人たちはいい仕事をするもんです.

話は変わって.

一地方の名門大学(一応,うちはぎりぎりここにカテゴライズされるかと)の教員レベルだと,それほど「凄い」というわけでもないですね.あんまり詳しく書くと角が立つのだけれど.

そんなこんなで,私は予備校の経験があるので,けっこう出題のセンスはあるのではないかと思います.実際,一人一人が叩き台の問題を持参してこなければならないのだけれど,私の問題はなんか青田買い状態になっています.嬉しいような,寂しいような.

出題のセンスなのだけれど,これは,基本的な英語力と,学生さんたちと日頃から向き合い,工夫してきた努力の2本が揃って初めて養成されるのではないかと思います.

英語ができるようになるためには,何ができなければならないのかという青写真が描けて,なおかつ学生さんたちに何ができて,何ができないのかということを徹底的に向き合った後で分析することで培われる,ある種の「カン」のようなものが重要なのです.

そういう意味では,大学の学部1年の頃から学習塾で教壇に立っていた経験は非常に役に立ちました.

その頃までには,英語力はちょっとしたものだったし,それに学生の「顔が見える」レベルで仕事をしていると,やはり自分が彼らにとってナンバー1でオンリー1の教師でありたいという目標と,とにかく彼らの喜ぶ顔が見たいという一心であれをしたり,これをしたり,という創意工夫を積み重ねた結果なのではないかなと思います.

そういう仕事のエキスパートが予備校講師に多くて,教育大なんかの先生をやっていなかったりするのはなんだか残念だけれど.

そんなこんなで,奇をてらうことなく,正当派の教育産業として成長してきたK塾はやはり質のいい教材をたくさん提供してくれていると思います.恩義があるから,というのもありますが,こういういい仕事をしている団体には,やはりこれからも頑張ってもらいたい.(なんて気分でいたら,「お前みたいに安いお金でちゃんと仕事してくれる奴らがおるから,理事なんかが愛人囲ったりできるんやぞ」なんて話も聞かされたことがあるのを思い出しますが)

世間体としては,大学教員の肩書きはたいしたものだと思うのだけれど,それはそれ.どの団体も,できる人間が少数で,どーしようもないのも少数いて,後はフツーの人たちという働き蟻の法則みたいなのはどこにでもあるもんです.

せめて,自分の責任学部の問題は質のいい良問を提供していきたいと思うのですが.

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