2011/12/28

空気を読む能力

最近,「空気を読め」だとか,「コミュニケーション能力が重要」だの何だのと言われている.

ふと,この種の言葉を英語にどうやって翻訳したものかと悩んだのだが,いい訳語が思い当たらない.

少なくとも,communication skillsではないと思う.

英語圏の人たちがcommunication skillsと聞いて思い浮かべる能力と,「空気を読む能力」とは似て非なるものである.

間違いない(って,この言い回し古いんだけど...).

友人がいるので,多少複雑な気分だが,例えば,世の中を賑わしているオリンパスと東京電力という会社がある.

粉飾決算と,原発事故で一躍有名になってしまった会社であるが,この種の企業で要求される「空気を読む力」とはいったい何であろうか.

ケーススタディーとして,クビになったマイケル・ウッドフォード社長について考えてみよう.

彼は,自社の粉飾決算を発見し,それを会計事務会社に依頼して調査し,そして問題を解決しようと考えた.

これが原因で,「独断的な経営を行い,他の取締役との乖離が生じた」として解任されることとなってしまう.

単刀直入に言えば,彼は日本社会において決して犯してはいけない,空気を読まないという行為によって廃絶されてしまったわけである.

これが「和をもって貴しとなす」国の特徴である.

自社の問題点を発見しても,それに目を閉じ,臭いものに蓋をするという行為こそが日本という社会で求められるコミュニケーション能力なのである.

自分の所属組織に問題があるはずがないし,あってはならないのである.

問題が露見した後で,遡及的に

「どうして,あのとき,問題がわかっていたのに解決しようとなさらなかったのですか?」

と言われようが,そのことによって未来に渡って,自己の所属組織だけではなく周辺の人たちに甚大な被害が及ぼうがどうしようが,問題を解決しようという行動は取ってはいけないのである.

問題が生じれば,ひたすらに頭を下げ,75日ガマンし,禊ぎを済ませ,水に流せばそれで問題はなくなるとされるのが,この国の特徴なのである.

こういう風に考えれば,世間の人たちの言う「空気を読む能力」という言葉の意味も合点がいく.

要するに,所属組織に染まり,上司の命令には黙って従い,問題点などネガティブな要因を発見しないこと,または見つけても黙って見過ごすことのできる能力こそが「空気を読む能力」の本質なのである.

断言するが,ウッドフォード氏がオリンパスに復権できる可能性もなければ,原発の危険性を指摘していた学者や危機管理の必要性を説いた東電社員が陽の目を見る機会は今後もないであろう.

彼らは,関連会社だけに留まらず,日本に存在する全ての組織から和を乱すトラブルメーカーとしてブラックリストに名前が記載され,多くの支持を集めることもなく,後ろ指を指されながら生きていく不都合に耐えていかねばならない.

言うまでもなく,かような現状は雇用者からすれば非常に有利なことであり,「空気を読む能力」にオブラートが包まれ,さも肯定的なものとして今後の若い戦力が身に付けるべき能力として推奨されることは願ってもない話なのである.

こういう理由で,私は「空気を読め」という発言をする人間は信頼しないことにしている.

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