2012/03/19

かわいそう?(かわいく思われるの意味で)

ちょっと言語学でevidentiality関連の論文を読んでから考えていたのだけれど.

英語のちょうどseem toに該当する日本語の「〜そう」という単語って,「かわいい」という形容詞にはどうあがいてもつかなさそうですよね.

例えば,人からある女性Aの評判を聞いて,「あ,それってかわいい人なの?」と思ったときに.

「かわいそう」

という言い方は出来ない.

「かわいそう」という言葉は,あくまで英語で言えばpoorみたいな意味でしかなくて,「愛らしい」という意味の「かわいく思われる」という意味にはどう考えても解釈しようがない.

一応,形容詞一般には「そう」がつくので.

「おもしろそう」

「大きそう」

「正しそう」

とどのようにでも活用できる.

意味的に考えても,「かわいい」というのはスピーカーによる審美眼的な主観判断の意味なので,上記の形容詞でも,それに似た意味の形容詞で

「きれいそう」

「美しそう」

という言い方も全然大丈夫なので,やはりなぜseem to be prettyの意味で「かわいそう」という言い方が出来ないのかが疑問である.

同音異義なので,poorの意味の「かわいそう」と混同しないようにしてある,ある種の最適化が働いているとでもこじつけられそうだが,そもそも同音異義語なんていくらでもあるわけだし,イントネーションの区別でどうとでもなりそうなのだが,なぜここまで「かわいそう」という言い回しが不可能なのか,はっきりとした理由がさっぱりと分からない.

なぜだ.

なぜなんだろう?

という,至極,どうでもいいことに頭を悩ませる性質が学者とかいう生物にはあります.

変な奴なのかもしれませんね.

一応,余談がてら「かわいい」という言葉と「かわいそう」という言葉は語源が同じです(「かはゆし,かほはゆし」だとか.顔を向けていられないほど不憫であるという意味で使用されていたらしい).

というわけで,こじつけになるのだけれど,ある種のevidentiality markerがつくと,語幹の方の単語の昔の意味があぶり出されるのだとかいう,とんでも仮説をブログだからという理由で述べてみるのである.

案外,いい線いってたりして??

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