2012/05/11

石狩紀行(iii):石窯パン&Pizzeria Ripple


そんなこんなで,待ち時間と言われた90分が過ぎたので,ありすcaféから歩いてでも上って行けそうな丘の上にあるPizzeria Rippleに再び到着する.小高い丘の上にある,ちょっと小じゃれたこの店は,入り口の右側が黒い板,左側が白い板という黒と白のコントラストをガラスの扉で仲介してある趣味のいい外装である.店のすぐ隣にはコンクリートがむき出しになっている石窯の姿が見え,累々と薪が山のように積まれてあって,「これからピザを焼くんだ」という気概がどこからか感じられる.




待ち時間は90分と言われたものの,店に着いてからさらに30分ほど待たされたので,結局2時間以上待たされた計算になる.店内はこじんまりとしてあって,きれいな椅子とテーブルが並べられてあって,ガラス張りの壁からは広い日本海が眼前に広がる感じになっている.

この店は,ピザだけではなくて,持ち帰りのパンもいくつか焼いてあったみたいなのだけれど,クロワッサン,食パン,ノア・レザン,フィセルとその全てがとっくに売り切れ.からからになった,パン売り場のそこには,確かにおいしいパンがあったのだという存在感だけがひしひしと感じられる.個人的にこういう職人気質の店はとても好みである.

「俺の作る料理は誰にもマネでけへんで.マネしたかったら,根性入れて修行せんかい!」

というプロ意識っていいですよね.いつでもどこでも誰が作っても同じなんていうファーストフードなんてわざわざお金を出してまで食べようなんていう気にはならない.お金を出して食べるのだから,自分ではマネができなさそうな,それでいて,実際に目にして,食べてみて,「お,これは使える」と勉強させてもらえるような料理を食べたいと私なんかは思う.

というわけで,1時半に到着して遅い昼食にするはずだったこの日は夕方の4時前になってようやくありつけるという感じになりました.注文したのは,シンプルなマルゲリータ,パンチェッタ・アフミカータ,バッカ・シチリアーナの4つ.マルゲリータはシンプルなだけに料理人の基本的な技量を試すのにちょうどいいものだし,アフミカータは自家製のベーコンという文句が気に入ったのと,個人的に一押しだったのがシチリアーナ.ピザにはアンチョビとケッパー,ブラックオリーブが一番合うというのは私の持論です.ちなみに「ケッパー」という文字を見て,一人でケタケタと笑い続けていた学生さんがいました.いったい,何がそんなにツボだったのだろう.




日本にいると,ついついアメリカナイズされた「とりあえず,なんでも載せたれ」とかいう品のないピザが主流になっていて,イタリア人でもないのに「あんなん,ピザちゃうわ(イタリア人の言葉を翻訳するには大阪弁が一番いいと思う.食にうるさいし,やかましいというイメージがあるし,自己主張が強いし,人生楽しんでいる感があるし)」という気分にさせられてしまうのだけれど,この店のピザはとてもいい.

小麦,水,塩,酵母だけを使用して,それをちゃんと熟成させてから,注文を受けてから生地を伸ばして,450℃の薪石窯で焼いたとかいうピザ生地は,本当にヨーロッパのおいしいピザを思い出させる.

「そうそう,ピザってこれこれ」

という気分にさせられる生地は,もっちりとしていて,焼き目が程よく,食欲をそそるシンプルな香りで,すっきりとしていて一気に食べられる代物.

ソースもきちんとトマトソースで,それでチーズもきちんとモッツァレラチーズが使用されてある.プロセスチーズをなんか加工したような「ビューっと伸ばしときゃいいんだろ」とかいう日本のピザ用チーズとは全然違う.

口にしたピザは,トマト,チーズ,生地の香りがきちんと組み合わされてあって,絶妙な風味と感触が味わえます.まさか日本の,しかもこんな北の果ての土地でこんな本物のピザが食べられるとか想像もしていませんでしたが,とにかく石狩市の厚田にはこういう店がちゃんとあるのです.

2時間も3時間も待っていられないという人たちには,ちゃんと持ち帰りというオプションもあって,20-30分程で焼いてもらえるみたいなのだけれど,もし時間に余裕があるのならぜひ店内で食べてもらいたいと個人的には思う.石窯から取り出したばかりの焼きたてピザの味はやっぱり格別だし,店内は内装もきれいだし,風景も素晴らしく,掃除も行き届いていて,とてもくつろげる感じがします.まぁ,くつろぎすぎると,後のお客さんに迷惑がかかってしまうかもしれないのだけれど.

とにかくこの店のピザは随分と気に入って,待たされたのも「仕方がないか」と納得できるような感じです.シェフの男性1人と,レジとホールの女性1人で切り盛りしているみたいなのだけれど,帰り際にはシェフの人に向かってちゃんと「ごちそうさま.おいしかったです」と礼を言って帰る.やっぱり,プロである以上は率直な感想を聞かせてもらいたいだろうし,客に喜んでもらえるのは嬉しいだろうと思うので,私はおいしいと思った店を出る時には必ずシェフに挨拶をしておこうという自分なりのルールを決めているのである.

後続の学生さんたちも笑顔で「ごちそうさまー」と言っていたのだけれど,見るからに元気でかわいらしい女性から喜んでもらえると,やっぱり「この仕事をやっていてよかった」と思ってもらえるのではあるまいか.これからもこの意志を貫いて,おいしいピザとパンを焼き続けてもらいたいものである.

ところで,小さな石窯なんかが家の庭にあるといいですよね.北海道なんかは土地が結構余っている感じなので,自分の庭に石窯の1つくらい置いて,夏場には家族でピザパーティーなんかやってもなかなか楽しそうである.幸いにして,夏場の北海道のトマトはおいしいし,いい小麦も手に入るし,それなりにおいしいピザは作れる土台はありそうな感じである.まぁ,下手に学生さんたちにそんな話を振ると,また結婚の話題に持って行かれそうな気もしてしまうのだけれど.

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