2015/05/02

国家への帰属意識について

安倍首相、各500万ドル拠出表明

安倍首相が,MIT, ジョージタウン,コロンビアの3大学に5億円ずつ,総額15億円を寄付するという約束をしてきたそうである.

なお,あれだけ大騒ぎした,宇宙にでも飛び出すのかというスーパーグローバル大学事業では,トップ型の13大学に4億2000万円,牽引型の大学に各1億7000万円の拠出である.

バランスがおかしいと思う人は多いのではないかと思う.

単なる夢想かもしれないが,15億円もあるのなら,日本の大学生,院生にばらまいて欲しいと心から思う.ちゃんとした,返還義務のない奨学金という形で.

そういった給付型の奨学金によって,学業を継続できる若者はかなり多数に上ることになるだろう.

そこで優秀な芽を出した人たちは,きっと10年後,20年後に自分が貧しかった頃に手を差しのばしてくれた日本という国家に多大な恩を感じ,心の底から愛国心を育むことになるであろう.

できれば,国籍というハードルも取ってしまった方がいいかもしれない.私は,イギリスとイギリスの大学に大きな愛着を感じているが,それは奨学金というサポートをくれた上に,恵まれた研究環境を与えてくれたからに他ならない.無償のサポートは,国外の人間にも好影響がある.

人が国家というものにある種の帰属意識や誇りを感じるのは,単なる共同幻想である.

国家という団体が,自分を,そして周りの人たちを庇護し,そして自分たちの存在を確立してくれていると感じられる機会が多ければ多いほど,その団体に対して愛情を抱くことにもなるのである.

愛国心というものは,式典の際に国旗を掲げ,国歌を斉唱することによって育まれるものではない.

与えるものもなく,ことある毎に自分たちを賛美させる歌を歌わせて,「ほーら,俺たちのことが好きになっただろう」と強制させられても,人は愛情の念を抱かない.

それはちょうど,優しさも,思いやりも,プレゼントも何も与えてくれない恋人が,記念日毎に「私/俺のことを好きと言って」と言わせるようなものである.

自分を賛美しなさい.そうすれば,私/俺のことが好きになるから.

というのは,単純に言えば,いじめっ子の論理である.恩のない人や団体に愛着を感じる人はいない.

好きになってほしければ,相手への思いやりを態度で示し,時には何かを与え,共感する機会を持ち,何も求めないことである.

「好き」と言わせることを強制させられることによって,何かを好きになることは決してない.

この国を,そしてこの国に住む人たちを愛しているのであれば,まずその気持ちを当事者たちに示すことが肝要であると私は思う.